2009年12月11日 (金)

相続に備えて(相続のための法律知識)

相続のための法律知識

相続に備えて

相続とは、死亡した人の財産上の権利義務を、特定の人に引継がせることをいいます。

権利義務というからには、現金や不動産などプラスの財産(権利)の他に、借金などマイナスの財産(義務)も引継ぐことに注意が必要です。

相続は人が亡くなって生じるものですので、「祖父母や両親が亡くなってから考えればよい」あるいは「私が死んでしまえば、もう関係ない」と考えている方も多いかもしれません。

しかし、相続は亡くなってからの問題だけでなく、亡くなる前に考えなければならない問題でもあります。

例えば、次のような例があります。

広島県出身のAさんは、東京へ出てから妻であるBさんと出会い、子供にこそ恵まれなかったものの、夫婦仲良く暮らしており、自宅マンションのほかに500万円ほどの現金を持っていました。

しかし、65歳になり、定年後の生活を謳歌しようと考えていた矢先に病気になり、1年後にはBさんの看病の甲斐なく亡くなってしまいました。

現金500万円は療養のために使い果たしてしまい、借金もしてしまったため、Aさんが亡くなってからは、Bさんはパートに出て借金を返済しながら生活費を稼いでいます。

亡くなったAさんには、故郷である広島に6人の兄弟がいたものの、両親が早くに亡くなっていたこともあり、密接な関係ではありません。

妻であるBさんとしては、せめて自宅マンションだけでも自分の名義にして、これからもそのマンションで暮らしていきたいと考えていましたが、Aさんは遺言状を残していなかったため、そのマンションを自分の名義にするためには、Aさんの兄弟全員に承諾してもらう必要があります。

お葬式の席では、Aさんの兄弟は、遺産すべてを妻であるBさんが引き継ぐのが当たり前のように話してくれていたのですが、何ヵ月かしてBさんが電話してみると、「マンションの価値はいくらなのか?」「自分の取り分はいくらなのか?」などと言い出し、話がまとまらなくなってしまいました。

このような例は、現実にたくさん起きています。

亡くなったAさんは、妻であるBさんに自宅マンションを継がせようと考えていたと思いますので、生前にその旨を遺言状に残していれば、Bさんは、Aさんの兄弟の承諾なしに自宅マンションを自分単独の名義にすることができました。

もし、Aさんに、法律の知識があり、自分に万が一のことがあったときに、自分の財産がどうなるのかを知っていれば、遺言状を書いていたでしょう。

Bさんに法律の知識があれば、生前にAさんと話し合い、自分の希望を伝えて、遺言状を書いてもらうこともできたでしょう。

相続の問題は、亡くなる前から考えておくべき問題なのです。

相続の問題を考えるためには、自分に何ができるか、相続が起こってしまうと財産上の権利義務はどうなってしまうのか、を知っておかなければなりません。

次回から、こうした点が分かるように、相続における法律知識を解説していきたいと思います。

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安田 徹
(司法書士、宅地建物取引主任者資格者)

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