2006年2月 9日 (木)

代襲相続

専門的過ぎない相続の話

代襲相続

民法で規定する相続人についてこれまで述べてきましたがこれは原則論。

実務でたびたびお目に掛かる特例的なケースに触れたいと思います。

まず原則論として、次のような事例を考えてみましょう。

  被相続人    長男
   |――――――|
   妻        長女

このケースでは通常の場合、相続人は妻、長男、長女となります。

では次のケースです。

  被相続人甲   長男乙はすでに死亡 →長男には子A、Bがいた
   |――――――|
   妻        長女

このケースでは長男乙は被相続人甲の死亡する以前に亡くなっているため、相続人にはなりません。

ここで問題になるのが、長男乙の子(被相続人にとっては孫)であるAとBの権利についてです。

長男乙が被相続人甲の死亡する以前に死亡していたために、AとBはいずれ取得できるはずであった被相続人甲の遺産を、全く取得できなくなるとすれば、それは不合理だと考えられます。

そこで民法はこのようなケースについて救済規定を設けました。

「AとBは父である乙に代わって相続人の立場を引き継ぐ」という「代襲相続」の規定です。

このケースでの甲の相続人は、「妻」「長女」そして長男乙の代襲相続人である「A」と「B」になります。

「襲」という言葉には引き継ぐという意味があります。

 

相撲・歌舞伎・落語などの世界で「襲名」という言葉が使われますが、これは昔の名人などの名前を引き継ぐという意味です。

代襲相続という規定は本来相続人となるべき子供か兄弟姉妹が「以前死亡」「相続欠格」「相続廃除」のどれかに該当していた場合で、その本来相続人となるべきものに子供(等)がいるときにその子供(等)が代わって相続人となるものです。

実務上よく経験するのは今回あげたケースである「被相続人の子供が以前死亡していて孫が代襲相続人となる場合」です。

「遺言もなく、養子縁組もしていない本来は相続人とならないはずの被相続人の孫(または甥、姪)が遺産を取得したのはなぜですか?」というご質問をしばしば受けるのですが、これはこの「代襲相続」があったものと思われます。

代襲相続については、その他にも留意点はありますが今回はこれまでとします。

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福井一准福井 一准

(税理士、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、日本FP協会CFP®認定者、宅地建物取引主任者試験合格者)

昭和38年大阪府生まれ。横浜国立大学経営学部卒。税理士事務所等へ勤務後、平成2年税理士登録。勤務中は法人の財務・税務のほか、相続税や不動産譲渡などの資産税税務も数多く担当。 平成5年福井一准税理士事務所として独立開業。税理士事務所所長として税理士業務や相続を中心としたFP業務を行うとともに、FP資格認定校にてFP試験「相続・事業承継設計」の兼任講師も務める。 【ブログ】いちじゅん税理士の事務所通信

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