2006年5月 4日 (木)

遺留分(その1)

専門的過ぎない相続の話

遺留分(その1)

所有する財産を、誰に引き継がせたいのかを決める場合には、遺言書を作成する必要があります。

言い換えると、被相続人は自分の死後に財産を誰に譲るかを遺言で自由に決めることができるということです(遺言自由の原則といわれています)。

次のような事例を考えてみましょう。

被相続人が法的に有効な遺言書を作成していました。

しかし、この遺言書には相続人以外の者に総ての遺産を譲ると書いてあります。

この場合、民法という法律により被相続人の遺産を取得できる権利をもつはずの相続人は、全く遺産を取得することができないのでしょうか?

そこで民法では、このような場合を想定して「遺留分」という規定を設けています。

相続人である配偶者や子供(代襲相続人を含む)、直系尊属には、最低限相続することができる権利を設けており、これを「遺留分」と呼びます。

そして、この遺留分を持つ相続人のことを「遺留分権利者」と呼びます。

ここで注意しておきたいのは、相続人である兄弟姉妹には遺留分がないことです。

例えば、相続人が配偶者と兄である場合、遺留分権利者は配偶者のみで、兄には遺留分はありません。

遺留分として最低限相続することのできる権利を、民法は割合で規定しています。

まず、遺産(注)全体に対する割合が定められています(総体的遺留分)。

相続人が直系尊属のみ  ・・・遺産の1/3
その他(上記以外)のとき・・・遺産の1/2

次に、遺留分権利者が複数いる場合、各人の遺留分の割合(個別的遺留分)は、この総体的遺留分を法定相続分で按分することになります。

(注)今回は単に「遺産」としましたが、正確には「遺留分算定の基礎財産」として一定の計算を行った財産の価額のことです。

詳しくは次回触れます。

具体例で示します。

遺産が6,000万円であるとき、遺留分として各遺留分権利者が最低限相続できる権利としての価額をケース1,2で算定してみます。

◆ケース1

相続人が妻と長男、長女のときの個別的遺留分


 6,000万円×1/2(その他のときの総体的遺留分)
 ×1/2(妻の法定相続分)=1,500万円

長男、長女それぞれ
 6,000万円×1/2(その他のときの総体的遺留分)
 ×1/4(長男または長女の法定相続分)=750万円

◆ケース2

相続人が妻と兄のときの個別的遺留分(注意!兄に遺留分はありません)


 6,000万円×1/2(その他のときの総体的遺留分)
 =3,000万円


 0円

ケース2では、妻1人が総体的遺留分(1/2)の全ての権利を持つことになります。

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福井一准福井 一准

(税理士、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、日本FP協会CFP®認定者、宅地建物取引主任者試験合格者)

昭和38年大阪府生まれ。横浜国立大学経営学部卒。税理士事務所等へ勤務後、平成2年税理士登録。勤務中は法人の財務・税務のほか、相続税や不動産譲渡などの資産税税務も数多く担当。 平成5年福井一准税理士事務所として独立開業。税理士事務所所長として税理士業務や相続を中心としたFP業務を行うとともに、FP資格認定校にてFP試験「相続・事業承継設計」の兼任講師も務める。 【ブログ】いちじゅん税理士の事務所通信

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