配偶者の相続税の税額軽減の留意点(その1)
配偶者の相続税の税額軽減の留意点(その1)
「配偶者の相続税の税額軽減」は、相続税の税額控除の中でも大きな減税効果のある制度です。
ただし、気を付けなければいけない点もあります。
相続税の申告期限(通常は被相続人の死亡の日の翌日から10ヶ月)までに、誰が取得するのか決まっていない遺産(未分割財産といいます)がある場合です。
未分割財産がある場合には、「配偶者の相続税の税額軽減」の適用金額が制限されます。
一般的に未分割財産があるということは、遺産争いが起こっていて、全ての遺産が未分割財産であることが多いのが現状です。
このような場合には、「配偶者の相続税の税額軽減」が全く適用できない可能性が高いのです。
そのため、本来税額負担が小さいと考えられるような被相続人の妻であっても、高い相続税の納税を迫られることになります。
納税のために、遺産である預貯金を引き出そうとしても、遺産の分割が決まらないと被相続人の預貯金は銀行でクローズされます。
自分自身の名義である預貯金などを多くお持ちの方ならまだ良いのですが、そうでない場合は納税に苦慮するという悲惨な事態も考えられます。
もちろん、相続税の申告期限から3年以内に分割が決まれば、更正の請求という手続により「配偶者の相続税の税額軽減」を適用して、払いすぎた分の相続税の還付を受けることができます。
また3年を過ぎて遺産争いなどの紛争により未分割状態が続く場合も一定の手続が必要ですが、その後の分割決定で更正の請求により還付を受けることが可能です。
しかし、ここで問題なのは、相続税の申告期限までに「配偶者の相続税の税額軽減」の適用ができなければ、一度納税をしなければならないということです。
相続税が高額になると考えられる場合には、合法的な節税対策をすることは重要なことです。
しかしそれと同時に、相続人の間で遺産の分割について紛争を起こさないようにすることも、生前の相続対策では重要なのです。
福井 一准
(税理士、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、日本FP協会CFP®認定者、宅地建物取引主任者試験合格者)
昭和38年大阪府生まれ。横浜国立大学経営学部卒。税理士事務所等へ勤務後、平成2年税理士登録。勤務中は法人の財務・税務のほか、相続税や不動産譲渡などの資産税税務も数多く担当。 平成5年福井一准税理士事務所として独立開業。税理士事務所所長として税理士業務や相続を中心としたFP業務を行うとともに、FP資格認定校にてFP試験「相続・事業承継設計」の兼任講師も務める。 【ブログ】いちじゅん税理士の事務所通信
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