2006年11月16日 (木)

配偶者の相続税の税額軽減の留意点(その2)

専門的過ぎない相続の話

配偶者の相続税の税額軽減の留意点(その2)

前回、「配偶者の相続税の軽減」特例は、大きな相続税の減税効果があると述べました。

しかし、この特例を限度一杯に利用すれば最も有効な減税効果を享受できるかといえば、実はそうとも限りません。

被相続人の配偶者は被相続人と同世代であることが多く、今度はその配偶者が亡くなった場合の相続開始における相続税負担も考えておく必要があります。

「配偶者の相続税の軽減」を限度一杯に利用するには、原則として配偶者が遺産を法定相続分取得する必要がありますが、この取得遺産の価額が大きいと配偶者の相続開始時の相続税も大きくなる恐れがあるからです。

被相続人の相続を「1次相続」とし、被相続人の配偶者の相続を「2次相続」としたときの試算例を挙げてみます。

【前提条件】

・1次相続の相続人は、妻・長男・長女で、相続財産の価額は6億円。

・2次相続は、配偶者である妻の1次相続で相続した財産がそのまま 相続財産の価額となる。

【1次相続で配偶者の相続税の軽減を限度一杯利用する】

妻は3億円(6億円のうち妻の法定相続分である2分の1)を相続することになります。

この場合の相続税は、
 1次相続で7,850万円・2次相続で5,800万円
 合計13,650万円です。

【トータルの相続税を一番低くする】

1次相続で妻が17,000万円を相続する方法です。

この場合の相続税は、
 1次相続で11,250万円・2次相続で1,600万円
 合計12,850万円です。

その差は800万円となります。

この試算はあくまで概算であり、財産価格の変動や妻の固有財産の有無により変わってきます。

また、遺産分割は相続税額の大小のみで決めるものではありません。

しかし経験上、相続税負担を1次・2次相続合計で考えてみることは、一つの大きな検討材料となるはずです。

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福井一准福井 一准

(税理士、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、日本FP協会CFP®認定者、宅地建物取引主任者試験合格者)

昭和38年大阪府生まれ。横浜国立大学経営学部卒。税理士事務所等へ勤務後、平成2年税理士登録。勤務中は法人の財務・税務のほか、相続税や不動産譲渡などの資産税税務も数多く担当。 平成5年福井一准税理士事務所として独立開業。税理士事務所所長として税理士業務や相続を中心としたFP業務を行うとともに、FP資格認定校にてFP試験「相続・事業承継設計」の兼任講師も務める。 【ブログ】いちじゅん税理士の事務所通信

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