貸家建築による相続税対策(その2)
貸家建築による相続税対策(その2)
前回は、更地である土地に賃貸マンション等を建築すると、相続税対策になるという話のからくりについて述べました。
確かに、相続税評価額の引き下げにつながるのですが、この点にのみ注目してしまうと、肝心のことを見失いますので注意しなければなりません。
貸家建築をする場合に最も肝心なことは、収益性です。
相続税対策を視点に入れているとしても、家賃収入などから借入金返済額と諸経費や税金などを差し引いた収支(資金繰り)が合うかどうかの検討を、しっかり行わなければなりません。
貸家建築の資金繰りが早い段階で赤字となるようであれば、相続税対策として相続税の予想税額は下がったのですが、それは単に「優良資産を不良資産に転化させたため、財産価値そのものが下がってしまったからだ」という最悪の結果になります。
郊外で地価高騰時に、市街地農地を宅地に転用して、そこに貸家を建てて相続税対策を図るということがよく行われていました。
しかし、建築してから何年か経過してこの資金繰りが悪化してしまい、手許金融資産の持ち出しにまでつながったというケースを幾度が見ました。
同様のケースで、成功しているケースももちろんあります。
この両者の違いは何だったのか。
その1つに、計画時に貸家建築における資金繰りをしっかり検討したかどうかということがあると思います。
相続税対策のための貸家建築に関わる場合、予想相続税額の引き下げ効果だけに目を奪われず、建築予定地の事情、空室リスク等も勘案して冷静に資金繰りを検討することを忘れてはいけません。
福井 一准
(税理士、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、日本FP協会CFP®認定者、宅地建物取引主任者試験合格者)
昭和38年大阪府生まれ。横浜国立大学経営学部卒。税理士事務所等へ勤務後、平成2年税理士登録。勤務中は法人の財務・税務のほか、相続税や不動産譲渡などの資産税税務も数多く担当。 平成5年福井一准税理士事務所として独立開業。税理士事務所所長として税理士業務や相続を中心としたFP業務を行うとともに、FP資格認定校にてFP試験「相続・事業承継設計」の兼任講師も務める。 【ブログ】いちじゅん税理士の事務所通信
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