2009年7月30日 (木)

借地権と使用貸借

専門的過ぎない相続の話

借地権と使用貸借

今回から数回に分けて、個人間で土地の貸し借りがあったときの税務の取扱いについて触れていきます。

複雑な取扱いとなるケースも多々ありますが、私がこれまで経験したケースを中心にお話ししていきたいと思います。

自分の建物を建てるために土地所有者から土地を借り受ける場合、通常は建物を所有するための賃借権を設定することになり、税務上も借地権の設定があったものとして取り扱います。

この借地権の設定の対価として権利金などの一時金を支払う慣行のある地域(都市部の大半がそうでしょう)を「借地権の慣行のある地域」という言い方をします。

今回は、借地権の慣行のある地域に所在する宅地を前提に話を進めていきます。

親が所有する宅地に子供が家を建てる場合がよくあります。

この際、子供が親に権利金の設定の対価として一般的に支払うべき権利金などの一時金を支払うケースは希ではないかと思います。

親子間などで権利金などの支払いをせずに借地権の設定があったときは、その後に借地権の使用料である地代で一般的な金額(通常の地代といいます)を支払うか否かで税務上の取扱いが異なります。

権利金などの支払いはないが通常の地代を子供が土地所有者である親へ支払っていく場合(賃貸借契約)には、税務上問題が生じます。

子供は本来支払うべき権利金などを支払わずに借地権を手に入れたとして、借地権相当額に対してその子供に贈与税が課税されることになります。

一方、子供は親へ権利金も通常の地代も支払わずに親の宅地に子供の家を建てるケースもあり、実際にはこちらのケースの方が多いでしょう。

これは無償による宅地の貸し借りで、民法上の使用貸借契約に該当します。

建物を所有するための土地の貸し借りであっても使用貸借の場合には借地借家法の適用がなく、また民法では使用貸借契約は借り主の死亡により終了することとされています。

これらのことから、税務上も使用貸借による宅地の貸し借りの場合には借地権の価額は生じないものとしており、賃貸借の場合と異なり借地権相当額(そもそも0円)に対する贈与税の課税というものはありません。

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福井一准福井 一准

(税理士、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、日本FP協会CFP®認定者、宅地建物取引主任者試験合格者)

昭和38年大阪府生まれ。横浜国立大学経営学部卒。税理士事務所等へ勤務後、平成2年税理士登録。勤務中は法人の財務・税務のほか、相続税や不動産譲渡などの資産税税務も数多く担当。 平成5年福井一准税理士事務所として独立開業。税理士事務所所長として税理士業務や相続を中心としたFP業務を行うとともに、FP資格認定校にてFP試験「相続・事業承継設計」の兼任講師も務める。 【ブログ】いちじゅん税理士の事務所通信

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