キャッシュフローと不動産所得
キャッシュフローと不動産所得
今月の記事で、税金計算のモトになる不動産所得は、単純に収入から支出を控除したものではないということに触れています。つまり、1年間大家さんをやった結果、手元に残ったお金(家賃収入から管理などにかかった費用を支払った残り)に税金がかかるわけではないということです。
不動産所得は、収入金額から「必要経費」を引いて出します。このように書くと、すごくシンプルですが、実はこの「必要経費」がクセモノ。不動産所得がややこしいのは、この「必要経費」が必ずしもキャッシュで出て行くもの一致しないからなのです!
「キャッシュで出ていくものと一致しない」の代表が、減価償却費でしょう。一般に、建物は古くなるとその価値が減ると考えられますが、不動産所得を求める際は、その減価分を必要経費として収入から控除できるようになっています。
他に、必要経費にできるものに、ローンの利息があげられます。手元から出て行くのは、元利合計額ですが、元本部分は必要経費として認められません。これも手元から出て行くお金とのズレを感じるところです。
理想的なのは、不動産所得がマイナスになって給与所得との損益通算ができること。そうであれば税負担を減らすことができます。このときのポイントは、キャッシュフローがプラスであることです。つまり、資金繰りに関しては、赤字にならないということ。「税金の負担を減らすことができる+手元のキャッシュにも余裕ができる」のなら、二重にいいことが起こる状態です。言うことはないですね。
ときどき、不動産所得をマイナスにすることに成功(つまり税負担を軽くすることに成功)しても、キャッシュフローまでマイナスになって、結果として全体でマイナスになっているというケースがありますが、これはあまりうれしくない。キャッシュフローがマイナスになると、その赤字分を何かで補填しなければなりません。たいていの場合、お給料がマイナス補填の財源となっているようです。
わりと見かけるのが、不動産所得をマイナスにはできないものの(つまり税金の負担が発生する)、手元に残ったキャッシュから税金を差し引いたとしてもおつりがくる状態。これであれば、投資を行うことによってキャッシュフローが豊かになるわけですから、いい状態といえるでしょう。
それから、こちらもわりと見かけるのが、不動産所得に税金がかかり、わずかに残った手元キャッシュから税金を負担した結果、最終的に赤字に転落してしまうといったケース。ちょっぴり悲しいですね。
不動産投資の収支を考える際のポイントは、最終的な税金負担までを考慮して全体の収支を考えておくこと。ここが抜けている方が多いと感じます。
久谷 真理子
(1級ファイナンシャル・プランニング技能士、日本FP協会CFP®認定者、住宅ローンアドバイザー、宅地建物取引主任者)
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