居住用財産の譲渡損失の損益通算および繰越控除の特例(1)
居住用財産の譲渡損失の損益通算および繰越控除の特例(1)
「居住用財産の譲渡損失の損益通算および繰越控除の特例」とは、個人がマイホームを売却して損失が発生した場合に、その譲渡損失の金額のうち、一定の住宅ローンの金額から売却価額を控除した残額を限度に、給与所得等の他の所得と通算、翌年以降3年間に渡って繰り越すことができる特例です。
特例を受けるには、①所有期間が5年を超えるマイホームで、現に自分が住んでいるものであること(住まなくなってから3年後の年末までに譲渡される場合等も可)、②売却するマイホームについて住宅ローンの残額があること、③繰越控除する各年分の合計所得金額が3,000万円以下であること、④売却相手が、配偶者など一定の関係者でないこと、といった要件を満たす必要があります。
特例の具体的な内容を次のAさんの例で考えてみましょう。
Aさんは、平成8年に6,000万円で購入したマイホームを、平成20年に2,500万円で売却(建物の減価償却費800万円、譲渡費用100万円)して、賃貸住宅に住みかえました。
Aさんには、売却したマイホームの住宅ローン残額が4,800万円あり、平成20年の所得は給与所得のみで700万円、源泉徴収税額は52万円でした。
この場合、課税譲渡所得は、2,500万円-(6,000万円-800万円)-100万円=▲2,800万円となるので、Aさんには2,800万円の譲渡損失が発生しています。
譲渡損失の金額のうち特例の対象となるのは、住宅ローン等の残額から売却価額を控除した残額が限度です。
Aさんの場合には、4,800万円-2,500万円=2,300万円となります。
給与所得の700万円と対象となる損失金額2,300万円との損益通算により、平成20年分に関しては、所得税額はゼロとなり、源泉徴収税額の52万円は全額がAさんに還付されます。
譲渡による損失が出ていたAさんにとっては非常に大きな還付といえそうです。
さて、給与所得の700万円は損失金額と通算されましたが、1,600万円はまだ損失のまま残っています。
次回は、この損失金額の残り1,600万円がどうなるのかを見ていきたいと思います。
石山 貴
(1級ファイナンシャル・プランニング技能士、日本FP協会CFP®認定者、宅地建物取引主任者、マンション管理士)
昭和45年埼玉県生まれ。早稲田大学社会科学部卒。商社系コンピュータ会社勤務の後、FP教育機関にてFP関連のテキスト・書籍の執筆等に従事するとともに、FP資格受験生に対する受験相談や指導にあたる。ファイナンシャルプランナーとしては、不動産と相続を中心に、関連する分野を網羅した総合的な観点からのアドバイスを心がけている。
【ブログ】CFP石山貴のブログ
FP会社フリーダムリンクトップ
⇒「相続対策チェック」はこちら