2008年12月24日 (水)

相続時精算課税制度の留意点

相続・贈与とその税務

相続時精算課税制度の留意点

「相続時精算課税制度」という、相続税と贈与税を一体化した税制度が平成15年に創設されました。

この制度は原則として親から子への贈与を対象としていますが、次のような年齢制限を設けています(但し、住宅取得等資金に係る相続時精算課税制度の特例では贈与者である親の年齢制限はありません)。

贈与する者(贈与者)である親・・・贈与の年の1月1日現在で65歳以上

贈与を受ける者(受贈者)である子(厳密には推定相続人である直系卑属とされ、既に死亡している子の子、つまり孫がいる場合はこの孫も含まれます)・・・贈与の年の1月1日現在で20歳以上

相続時精算課税制度の適用を受けると、累計した贈与財産の価額が2,500万円(住宅取得等資金に係る相続時精算課税制度の特例では一定計算の上で3,500万円)までは贈与税が課税されず、これを超える場合に一律20%の贈与税が課税されるというものです。

一般的には贈与税の課税負担がかなり軽減されます。

しかし、贈与者である親の死亡による相続税の計算上では、この相続時精算課税制度の適用を受けた贈与財産は全て贈与時の相続税評価額により相続財産に加算して相続税を計算することとなります。

つまり、相続税計算の上では不利な取扱いになります。

将来相続税が課税される可能性がある場合には、相続時精算課税制度の適用については必ず事前の検討をする必要があります。

この制度は、うまく利用すると贈与税負担が殆ど無い生前贈与をすることにより将来の遺産分割のトラブルを防ぐことができると考えられます。

しかし、失敗すると最低限の相続割合である遺留分の問題が表面化して逆に遺産分割のトラブルを招くこともあり得ます。

また、贈与財産によってはその価格の変動により予測していた以上の相続税負担を強いられることも考慮しなければいけません。

この様なことから、薬になることも毒になることもある相続時精算課税制度・・・是非うまく利用したいものです。


福井一准福井 一准

(税理士、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、日本FP協会CFP®認定者、宅地建物取引主任者試験合格者)

昭和38年大阪府生まれ。横浜国立大学経営学部卒。税理士事務所等へ勤務後、平成2年税理士登録。勤務中は法人の財務・税務のほか、相続税や不動産譲渡などの資産税税務も数多く担当。 平成5年福井一准税理士事務所として独立開業。税理士事務所所長として税理士業務や相続を中心としたFP業務を行うとともに、FP資格認定校にてFP試験「相続・事業承継設計」の兼任講師も務める。 【ブログ】いちじゅん税理士の事務所通信

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