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【第4回】事務所や店舗として貸す場合の注意点

店舗特有の「居抜き」の仕組みと利用時の注意点を正確に理解しよう

これまで、不動産活用で代表的な「住宅の賃貸」のトラブル対策や賃貸管理業務等についてお伝えしてきましたが、賃貸物件にはほかにも、事務所や店舗として利用されるものも少なくありません。今回は住宅ではなく、事務所や店舗として貸す場合における注意点を見ていきたいと思います。

まず、事務所や店舗が住宅と決定的に違うところは、事業を行うために賃貸借されるということでしょう。そのため、賃貸人側としては、万一、テナント(賃借人)の事業がうまくいかなくなったときなどにトラブルなく物件を明け渡してもらえるように、必要な対策を講じておかなければなりません。

想定される主なトラブルとして、「賃料の滞納」と、明け渡し時の「原状回復義務の不履行」が挙げられます。事務所や店舗では、明け渡し時の原状回復においても、その費用が高額になることが十分考えられます。

そのため、一般に事務所や店舗の賃貸では、住宅よりも賃料に対する敷金あるいは保証金等の預託額が多く設定されます。物件によっては、それに加え家賃保証会社の利用を条件としているものもあります。

なお、事務所や店舗の敷金、保証金等の額や償却等の諸条件については、住宅に比べ、その地域や立地、規模、業種等により、取引上の慣行やトレンドの影響を受けやすいものです。契約条件の設定、改訂を検討する際には、地元の不動産業者やビル所有者等の意見を参考にするとよいでしょう。

 

造作設備等を引き継いで営業する「居抜き」も選択肢

店舗の賃貸借契約では、通常、入居時にテナントがスケルトン(内装設備がない状態)で借り受けて、自らの費用負担で造作して営業を始め、退去時には原状回復(造作設備等を撤去して借りたときの原状に戻す)して、スケルトンで明け渡すということが想定されています。

ところが、テナントが入れ替わっても、同じような形態の店舗の入居が予想される物件もあります。

その場合、以前のテナントの設置した造作設備等がまだ使用できる状態であれば、原状回復でスケルトンに戻さず、その造作設備等をそのまま引き継いで営業したほうが効率的だという考え方もあります。これがいわゆる「居抜き」です。

ただし、一般的な店舗の賃貸借契約では、「居抜き」で行われる造作設備等の譲渡は禁止されていることが多く、「居抜き」を実現するためには、賃貸人の承諾が必要です。具体的には次のような流れになります。

①退去予定のテナントが新しいテナントを連れてきて、賃貸人の承諾を得る
②新しいテナントは、退去予定のテナントとの間で造作譲渡の契約を締結する
③同時に、新しいテナントは、賃貸人との間で賃貸借契約を締結する

これにより、造作設備等の名義と賃借人としての地位が退去予定のテナントから新しいテナントに移転します。

 

「居抜き」を専門に取り扱う業者も多い

「居抜き」には、新旧のテナント・賃貸人それぞれにメリットがあります。

退去予定のテナントは、造作設備等を撤去処分し原状回復するための費用負担がなくなり、場合によっては造作設備等を有償で新しいテナントに譲渡することも可能となります。

新しいテナントも、スケルトンから造作設備を新設するより費用負担や工事期間が軽減されます。

そして賃貸人にとっては、新しいテナント探しの期間中に賃料が入らなくなるリスクを回避できることが大きなメリットになります。

現在、特に飲食店業界では「居抜き」が一般的な取引形態として認識されており、「居抜き」を手伝う専門の業者も多くあります。中には、店舗を丸ごと一括借上げ(サブリース)して、テナントに転貸するサービスを行う業者もあります。賃貸人としては、入居テナントの賃料滞納トラブルの有無、テナント入れ替え時の空室状況等にかかわらず、安定的に一定収入を確保できるメリットがあります。

「居抜き」の際は、造作設備等の所有権や原状回復義務の内容などの説明を正確にしておかないと、後々の大きなトラブルの原因になることも少なくありません。

また、「居抜き」における造作譲渡の契約は、宅地建物取引業法に規定するものではないため、「居抜き」を手伝う業者の業務内容や報酬等はわかりにくいところがあります。

「居抜き」を持ちかけられる際には、新旧テナントに専門業者等、一時的に登場人物が増えるものです。賃貸人側としては、焦らず、新しいテナントとトラブルなく賃貸借契約を続けていけるように、専門家に相談するなど、一層の慎重さを持って取り組みたいところです。

 

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代表取締役 CFP®
永田 博宣

 

近代セールス社「ファイナンシャル・アドバイザー」連載~プロが教える不動産の活かし方(2015年7月号)~より転載

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