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【第5回】相続した不動産の名義を変更する

相続登記の未了や安易な共有は将来のトラブルの原因になる

相続登記とは、相続により不動産の所有者が変更された際に行われる登記です。相続登記で登記名義人を特定の相続人に変更することによって、誰がその不動産を引き継いだのかが明確になるため、その不動産を担保に借入をしたり、売却したりすることができるようになります。つまり、相続した不動産の活用を検討する場合には、相続登記が必須条件になるのです。

相続登記は、遺言書があればできます。ただし、遺言書は法的に有効なもので、相続登記をするうえでも不備のないものにしておくことが重要です。

万一、遺言書に不備があると、相続登記をするために相続人全員の協力が必要となるのですが、その際、遺言の内容に不満を持つ相続人が協力してくれない危険性もあるからです。

被相続人が遺言書を残さなかった場合は、相続人全員で遺産分割協議をして、その不動産を引き継ぐ人を決めます。他の相続財産も含めて、誰がどの財産を相続するのかを話し合うのが遺産分割協議です。

なお、遺産分割協議は被相続人の相続財産すべてについて一斉に行わなければならないわけではないので、例えば、不動産ごとに遺産分割協議をして相続登記をすることもできます。

また、有効な遺言書が残されていた場合でも、相続人全員による遺産分割協議で、遺言書の内容と違った引き継ぎ方を決めることも可能です。

 

相続登記を忘れたままだと将来の手続きがやっかいに

一般に、相続税の申告を行う際には、様々な特例を利用する条件として、遺産分割協議の成立が求められます。そのため、相続税の申告を要する場合には、成立した遺産分割協議の内容を踏まえて、相続登記についても速やかに行われるケースが多くなっています。

ところが、相続税を申告する必要がない場合には、相続登記は義務ではないため、相続登記を忘れてしまうことがあるのです。また、相続登記はいつでもできるからと遺産分割協議書の作成や、名義変更手続きに手をつけないままにしている場合もあります。

このような不動産をいざ活用しようとすると、前述したように相続登記が必要になります。しかし、相続発生から時間が経っていると、当時の相続人もすでに亡くなっていることが少なくありません。

その場合、登記名義人を特定の相続人に変更するには、現時点での相続人全員で遺産分割協議を行う必要があります。ところが、相続人の中に、非協力的な人や行方不明の人がいると、相続人全員による遺産分割協議ができず、不動産の活用もできなくなってしまうのです。

もし、相続登記が未了の不動産がある場合には、早めに対処しておくべきでしょう。

 

法定相続分による相続登記は共有のトラブルを引き起こす

相続登記を行うためのもうひとつの方法は、法定相続分どおりに相続登記をする方法です。この方法だと、遺産分割協議をする必要がなく、共有持分は法定相続分となり明確です。不動産が分けにくいなどで遺産分割協議が進まない場合に、「公平に相続する」という考えでこの方法を選択するケースも実際には少なくありません。

法定相続分による相続登記を行うと、一時的に相続登記未了に伴うトラブルは回避できますが、一方で、「不動産の共有」によるトラブルに注意が必要となります。

法定相続分による相続登記を、理解したうえで意図的に選択するのではなく、相続が発生したときに「分けにくかったから」という理由で行うとしたら、将来、不動産共有に関するトラブルを引き起こす可能性が高くなるからです。

共有となっている不動産について、借入のための担保設定や建替え、売却等を検討する際には、原則として、その不動産の共有者全員の同意が必要となります。そのため、共有者のうちの一人でも反対すると、話が進まなくなってしまうのです。

初めは仲の良い家族や兄弟だけの共有だったとしても、長い年月を経て相続を繰り返すと、ほとんど会ったことのない遠い親戚が共有者になることも想定されます。

このタイミングで不動産活用を検討する必要性が発生すると、活用の方針や売却価格等について共有者全員の意見がまとまらないことも多いのです。共有者それぞれが別々の家族を持ち、付き合いもあまりなければ、お互い譲りあえなくなってしまうのも仕方のないことかもしれません。

これが不動産共有に関するトラブルの代表例です。

相続した不動産の名義を変更する際は、十分に話し合いを行い、その不動産を引き継ぐ人を特定することが大切です。安易な共有はできるだけ避けましょう。問題の先送りで苦労するのは子や孫なのです。

 

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代表取締役 CFP®
永田 博宣

 

近代セールス社「ファイナンシャル・アドバイザー」連載~プロが教える不動産の活かし方(2015年8月号)~より転載

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