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【第6回】賃貸アパートを相続した場合の対応

まずは収支と管理状況を確認、資産の組換えや相続対策も含めて活用方法を検討する

連載も6回目となりました。今回は、これまでお伝えしたことを振り返りながら、賃貸アパートを相続で引き継いだ場合の新所有者としての上手な取組み方について、具体的に考えてみます。

相続により所有者変更が確定したことを入居者や賃貸管理会社等に伝え、賃料等の振込先を変更すると同時に、相続登記で名義変更を行うと、いよいよ不動産活用方法の検討開始です。

最初に行うことは、収支および賃貸借契約内容のチェックです。収支表やレントロール(貸借条件一覧表)を作成してお金の流れと契約内容を確認しましょう。

賃料等の滞納はないか、運営コストには何があっていくらかかっているのか、入居者の退去時に返還する敷金はいくらなのかなどを把握することは、貸主として最低限必要なことです。

この際、賃貸借契約書や管理業務委託契約書、固定資産税等の納税通知書、申告書や収支内訳書の控え、借入残がある場合の返済計画表等を整理しておきましょう。

ここで多くの方が悩まれるのは、収支および賃貸借契約内容について具体的にどのようにチェックしていくのかということです。運営コストの妥当性もわかりにくいものですし、賃貸借契約の内容や特約等について熟知している人は少ないのではないでしょうか。

こういった場合に活用したいのが、不動産の賃貸管理についてサポートしている賃貸管理会社です。

現在、依頼している賃貸管理会社があれば、現状の収支や契約内容について説明してもらい、収支改善の可能性やその他の対策案を提示してもらいましょう。万一、賃料等の滞納がある場合には、今後どのように対応すればよいのかを聞いてみると、具体的な方法を提示してもらえるはずです。

もし、その対応や提案が満足できるものでなければ、他の賃貸管理会社に聞いてみるのも一法です。現在では、賃貸管理会社も多く、そのサービス内容やスタンス、そして担当者も様々です。これから所有者として、大切な資産の運営管理を任せられる、自分に合った賃貸管理会社や担当者を選択したいものです。実際、相続が発生すると、先代と違う賃貸管理会社に変更する方は少なくありません。

 

長期的な不動産活用方法も同時に検討する

収支改善と賃貸管理についての最善策を取り入れると、短期的には安心して運営管理の実行ができるようになります。

しかし、長い目で見ると建物設備や入居者は不変ではありません。建物設備は古くなると修繕交換費用の負担が増えていきますし、周辺に新築の競合物件が建つと募集賃料を下げざるを得ない事態になることもあります。立地によっては、将来、人口減で賃貸需要が減少し、賃貸経営が難しくなると予想される物件もあるでしょう。

だからこそ、短期的な収支と管理のチェックだけではなく、長期的な活用方法も同時に検討する必要があるのです。

具体的には、将来の賃貸需要や不動産相場等について幅広く情報を収集しながら、その建物の建替えや買換えのスケジュール、資金計画等について検討してみましょう。

例えば、将来、賃貸アパートの建替えを検討するのであれば、それに向けて計画的に、入居者入替えのタイミングで定期借家契約に切り替えていく方法も効果的です。こうすることにより、建物取り壊しのため入居者全員に退去してもらう際の立ち退きトラブルを最小限に防ぐことが可能となります。

 

どのように次世代に資産を引き継ぐかという視点も重要

不動産以外の資産への組換え等を検討することもできます。ここまで、賃貸アパートを相続して賃貸経営を継続することを前提に話を進めてきましたが、相続後すぐにその賃貸アパートを売却する選択肢もあります。

売却代金を、住宅取得資金や住宅ローン等の繰上げ返済に充てることもできますし、他の金融資産で保有することもできるでしょう。

特に最近は、将来において賃貸需要の減少が懸念されるエリアでは売却を選択する方も増えています。これからの時代、長期的な不動産活用方法を検討する際には、不動産の価値が高いうちに他の資産に組み替えることも検討すべき事項の一つなのかもしれません。

長期的な不動産活用方法は、多くの選択肢の中から、自分や家族に適した方法を検討するようにしましょう。その際の注意点は、相続を見据えることです。

建て替えた物件、買い換えた物件、あるいは組み替えた資産等を、どのような形で次世代に引き継いでいくのかという相続対策は、節税だけではなく、将来の相続での分割トラブルを防ぐうえで、長期的な不動産活用方法と同時に検討すべき重要事項といえるでしょう。

 

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代表取締役 CFP®
永田 博宣

 

近代セールス社「ファイナンシャル・アドバイザー」連載~プロが教える不動産の活かし方(2015年9月号)~より転載

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